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当ブログは新米作家馬場貴生のブログを使った自分メディアです。ものづくりの中からの発見などを通じて、僕自身がステップアップしていくさまを発信していきたいと思います。

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コミック:「鳥山明のヘタッピマンガ研究所」はあの頃の僕のバイブルであった。

   

漫画家になりたいと思った時。僕は小学生だった。
当時は漫画の描き方など教えてくれる本はほとんどなくて、ほとんどの子供は人気漫画のトレースから入ったものだ。
僕もたがわず、当時人気だった「聖闘士聖矢」や「ドラゴンボール」をまねたものだ。
そんな時代に於いて、数少ない漫画の指南書が鳥山明+さくまあきら「鳥山明のヘタッピマンガ研究所」である。2013-04-26 20-47_1「1991年8月15日 第26刷発行」とあるので、この年が僕が購入した年であろう。
小学校6年生の頃、なけなしの小遣いで買ったのだ。
ちなみに初版は1985年とある。ヒット作だったことがうかがえる。

内容は1話3~4ページで、へたっぴ君がとりやまあきら先生にマンガの教えを乞うと言うもの。
2013-04-26 20-47_5これがまた簡単ながらツボを押さえてある。
「キャラクターに個性をつける」
「弱点を作る」
「遠近法」
「ネームの描き方」
「コマ割りの仕方」
「持ち込みの様子」
など、多岐にわたる、中でも「女性の描き方」などはいかにも鳥山明っぽくてよいではないか。
それらをギャグテイストで書いてくれているのですらすらと頭に入ってくる。
しかも、マンガの描き方をマンガでもって教えてくれるのだから、例えば「どんなマンガがつまらないのか」という事をキャラクターたちが身をもって示してくれるのがさらにわかりやすい。

しかし、「ヘタッピマンガ研究所」本編はこの一冊の半分にも満たない。
残りはより具体的なマンガの指南書となっている。
その部分は鳥山明のマンガは入らないが、鳥山明本人の写真がたびたび入る。
道具類や、トーンの貼り方などを教えてくれる。
当時としてはこれもありがたかった。

その後に、「ヘタッピマンガ研究レポート」なるコーナーが設けられている。
おそらく集英社に投稿されたか、または「ヘタッピマンガ研究所」としてマンガを募集したのかもしれない。
とにかく素人のマンガ原稿のダメ出しとアドバイスをするコーナーである。
2013-04-26 20-47_2この本のエポックメイキングな部分はこのページにあると言っても過言ではない。
上手なマンガはあらゆる場所で目にすることができるが、下手なマンガに触れ、さらに「どこが悪いか」「どこが良いのか」などに触れる機会はめったにない。
しかも、紹介されているマンガの下手さがハンパないのが逆に素晴らしい。
鳥山明がその一つ一つに対してダメ出しをしつつ、褒めるべきところは褒め、適格なアドバイスをしている。
上の画像に関しては、最初のページで顔を明かさず、読者の期待を煽る演出を褒める一方で、枠線の雑さなどをダメ出ししている。線のにじみに対して「定規の裏に一円玉を貼る」方法を伝授しており、これは僕もマネをした。

当時の僕は彼らよりもヘタッピだった。投稿歴はないし、ノートに自己完結のマンガを描くのが精いっぱいで、道具を買う金もなかったし、どこに売っているのかも知らなかった。
それでも単純に画力だけなら、彼らよりもうまい自負があったので、「自分よりも下手な人がいる」という不健全な自信を持ったものだ。
しかし、「下手な例を見る」と言うのはある程度の時期に於いては強力な糧となる。あまり長く続くと問題だが、「何がどう駄目なのか」という事を明確にし、自分自身に上手に還元させることは大いなる飛躍につながる。
僕自身、迷った時に何度も読んだ。
ページを開けば悪い例が載っており、あの鳥山明がアドバイスしているのだから心強い。

ちなみにこのコーナーには上手なマンガも紹介されているが「さっさと他のマンガ賞に応募しろ!」と言う風に怒られる始末。
この本の中では「ヘタッピ」に価値があるのだ。
2013-04-26 20-47_3そして巻末にアラレちゃんなどの描き方が紹介されている。
ものすごくわかりやすく描いてあるが、よく見たらアタリなど描いてないので、かなり難しいと思う。
2013-04-26 20-47_4「ヘタッピマンガ研究所」の精神は受け継がれる。
2008年にジャンプで「アイシールド21」を連載していた村田雄介が「ヘタッピマンガ研究所R(リターンズ)」を連載した時はびっくりした。
内容は現代のマンガに合わせてあり、特に作画に於いての村田雄介独特のアイデアなどは思わずうなってしまった。(人物を描く際に定規を使うなど)
他にも篠原健太「SKET DANCE」内で漫画家を目指す早乙女浪漫というキャラクターが「ヘタッピマンガ研究所」のパロディをしたこともある。
浪漫自身が絵が壊滅的に下手という設定のため、それだけでパロディが活きている。
しかし、マンガを描く道具などの紹介はしっかりされており、それなりに役に立つ事は出来るかもしれな内容である。

この本の主役は「ヘタッピ」である。
それは読者であり、漫画家になりたい子供たちである。
この本を通して、「下手だからと言って漫画を諦めることは無いよ」と言っている。
上手な人はお呼びでなく、鳥山明御大が「下手な人しか相手にしないよ」と呼んでくれている。
鳥山明は人によっては手塚治虫よりも神様だ。
氏の偉大なところはマンガの面白さだけではなく、そう言った優しい目線があったのではないか。
鳥山明も失敗をしたのだ。僕らも大いにするべきだと、今この本を読んで思うのだ。

タカオ@babarts1979


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