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特撮考察:帰ってきたウルトラマン「怪獣使いと少年」 ウルトラマンは、すべてを救えない。

   

2013-12-22 10-28_1「帰ってきたウルトラマン」第33話「怪獣使いと少年」を見ました。
日本特撮史上に残る名作だと思います。

2013-12-22 10-28_2あらすじ
少年が穴を掘っている。
彼は、バラッグで金山と名乗る老人と暮らしている。
しかし少年は付近の住民から宇宙人と呼ばれ、迫害や差別を受けている。

それを知った郷秀樹は、調査に乗り出す。

2013-12-22 10-28_3
すると金山という老人がメイツ星人だということがわかる。
メイツ星人は天体観測員として地球に降り立ち、怪獣ムルチに追われる少年を助け、ムルチを地中深くに封印した。
それからふたりは親子のように暮らしてきた。
メイツ星人は、不良等から少年を守るため、度々超能力を使っていた。

しかし、メイツ星人の体は近代化の進む地球にはなじまず、病に蝕まれていた。
そのおかげで、母性に帰りたくても、地中に隠した宇宙船を探す能力もなくしてしまった。
メイツ星人を宇宙に返すため、そして自身も地球をでるため、少年は地面を掘り続けていた。

その折、住民が少年のもとへやって来た。

2013-12-22 10-28_4
「宇宙人め!勘弁ならない!俺たちがやっつけてやる」
宇宙人というだけで、排除の対象とする住民たちは暴徒と化す。
捉えられる少年。郷は人々を止めようとするが、焼け石に水。
すると金山が出てきて、「自分が宇宙人だ」と告白。少年を守りたいがゆえの告白であった。

2013-12-22 10-28_5
しかし、暴徒と化した住民と一緒にいた警官が発泡。
金山は死んでしまう。

金山が死んでしまったことで、ムルチが復活。

2013-12-22 10-28_8
人々は「早くやっつけろ」と口々にいう。
しかし、郷は煮え切らない。
ムルチを復活させたのは、少年や金山を差別し続けてきた住人達で、都合が悪くなれば誰かに助けを求める。
人の言葉に耳を傾けず、自分たちより弱いものを痛めつけ、その見返りがこれだ。

2013-12-22 10-28_7
しかし、隊長の叱咤で立ち上がり、変身。

ウルトラマンはムルチを撃退。

2013-12-22 10-28_9

しかし、少年は変わらず穴を掘り続ける。

2013-12-22 10-28_10

僕らは日常的に差別を行っていると思います。
それは男らしさや、女らしさとか大人らしさとか、子供らしさとか。
いわゆるカテゴリーに当てはめようとする。そこからはみ出すと、なんやかやと意見を言う。
そういうことあるんじゃないでしょうか。

小さな差別自体、日常にあるとは思っていますが、自覚のない差別というのは残酷だと思います。

「怪獣使いと少年」の場合、住人は「宇宙人」という理由だけで、少年を迫害します。
その方法は徹底的で、不良に地面に埋められたり、せっかく作ったご飯を捨てられたり、商店街でパンを売ってもらえなかったり。
少年から見たら、金山という老人とともに暮らしたいだけなのです。
しかし、近隣の住民はそうではない。
「宇宙人」という得体の知れないモノに恐怖し、その真実を一切確かめもせずに、即刻排除しようとする。
彼らは「宇宙人」という響きに対し、自分たちには「正義」があると思っている。
そこに自分たちが差別を行っている自覚もありません。
それがものすごく恐ろしいのです。

僕はこの話を見て、ウルトラマンの無力さを知りました。
本作のラストは、少年が穴を掘り続けて終わります。
少年は金山が死んだと思わず「メイツ星に帰った」として、「いつか自分がメイツ星に行くんだ」と言いながら掘り続けます。
これは冒頭とほとんど変わっていないのです。
むしろ、金山が殺されたことで、少年の地球人への恨みは増し、悪い方向へ行ったとも言えます。

ウルトラマンが怪獣を倒し、何が解決したのでしょうか。
怪獣は、もともとメイツ星人が封印していたもの。
それが復活したから、倒した。いうなれば、メイツ星人の後始末を請け負ったに過ぎない。

ウルトラマンは怪獣を倒すことができても、物語を解決する力は本来持っていないのです。
それがウルトラマンの限界かも知れません。

しかし、この住人のような自覚のない悪意は、誰にでもある気がします。
きっと、悪人になるのは簡単なんです。

その時、ウルトラマンは助けてくれないということです。

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