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特撮考察:仮面ライダーにスタイルなんてない!プライドを捨てて戦え!

      2013/03/24

古今東西、ヒーローの背負う悲しみは、やはり魅力があるようだ。
X-MEN然り、バットマン然り……。
しかし、やはり憂いのヒーローと言えば、日本の仮面ライダーであろう。

20130109_kamenrider_1

本郷猛は、その頭脳と身体能力を秘密結社ショッカーに目をつけられ、バッタの能力を持つ改造人間に改造されてしまう。しかし、脳手術直前でショッカー基地を脱出し、「仮面ライダー」としてショッカーの野望を打ち砕かんと戦いに身を投じる

初期の仮面ライダーには、改造されてしまいただの人間ではなくなった本郷猛の悲哀が目立つ。
赤ん坊を抱くと、その肌に猛の手の跡が付き赤ん坊が泣きだす。「俺は、赤ん坊も抱けない体になってしまったのか」と猛が嘆くシーンがある。
異形ゆえの悲哀……。それが仮面ライダーの素地としてある。

形は違えど、仮面ライダーにはシリーズを通して何らかの悲しみが付きまとう。
V3は敵のデストロンに、家族を殺されている。アマゾンライダーは、飛行機事故で両親を亡くし、アマゾンで野生児として育つ。
ブラックは、親友と戦う宿命を背負わされる。

しかし、こういった設定はあくまで芯として存在するもので、番組自体は子供番組として成長していく。
仮面ライダーシリーズの大きな特徴は、大胆な「テコ入れ」にある。

前述した本郷猛の悲哀は、子供たちには不評であった。
そこで、様々なテコ入れをしながら番組は続いていくが、主演の藤岡弘、が撮影中にバイク事故を起こす。
そして復帰するまでの代役として2号ライダー=一文字隼人が登場する。
一文字は本郷と違い、明るいキャラクターとして描かれ、ライダーのカラーリングも明るい配色になり、今や定番の「変身ポーズ」もこの時点でできたものである。
ライダー人気は、ここで大きなものになる。

このように、仮面ライダーは、その初期から試行錯誤の連続で、番組を変容させてきた。
「仮面ライダーとはこういうものだ」と熱いファンは色々な定義を持っていたりするが、僕は敢えて「仮面ライダーは『仮面ライダー』と名乗っていればいい」と思っている。
つまり番組名が「仮面ライダー」であればよいのだ。

最初の仮面ライダーは2年も続く人気番組であった。そのあと「V3」が1年続くが次の「X(エックス)」は1年持たず、その後「原点回帰」を目的とし、怪奇性を前面に出した「アマゾン」を製作するがこれも半年ほどで終わる。

僕はこの「X」~「アマゾン」と言う変化が仮面ライダーシリーズを長期化させた最大の功績だと思っている。
「X」までは細かい設定は違えど、前作を踏襲したデザインとスタイルだったが、次のアマゾンではトカゲがモチーフとなり、主人公は裸で、片言の日本語しか話せず、ひっかきや噛みつきで怪人と戦うと言う、およそ同じシリーズとは思えないほどに変容したのである。
番組自体は短命で終わったものの、この変化で仮面ライダーは「壊して、創り出す」シリーズとなったのだ。

「破壊と創造」は、平成シリーズに於いて顕著である。
番組が変わる毎に、設定が一新される。最初の「クウガ」が人気を得て、次作「アギト」は前作を意識したつくりであったが、次の「龍騎」ではライダー同士のバトルロワイヤルと言う設定を盛り込み、次作の「555(ファイズ)」ではさらに設定を変える。
変化は徐々に思い切ったものになっていき、その最大たるものが「響鬼」だろうと思う。
まずデザインが歌舞伎の隈取をモチーフにしており、いわゆる複眼がない。どこが目だかわからないデザインである。さらに鬼もモチーフなので、触角の代わりに角がある。
「変身」という言葉を使わずに変身し、番組開始時はバイクに乗れないライダーだった。(後で「練習」して乗れるようになる)「音で戦う」と言うコンセプトがあり、楽器がモチーフの武器を持っている。
などと、「これが仮面ライダーか?」と散々言われたものだが、紆余曲折を経て番組は無事終了。
途中でプロデューサーが変わるなどのトラブルがあり、未だに賛否分かれる作品だが、それでも仮面ライダーは現在もなお続くのである。

製作陣は、面白い番組を作るべく、毎回、1から仮面ライダーを創造していくのだ。
常に「仮面ライダーとは何か」と問いかけ、新しいライダー像を提示して、視聴者に受け入れられていく。
スタイルに固執していたら、おそらくここまでシリーズは続かなかっただろう。

僕は常々、「プライドは持つべきではない」と思っている。
プライドは固執してしまう。固執すると、それにこだわるあまり発想が貧困になる。
新しく学ぼうとする意志も発生しにくく、「自分はこうだ」と決めつけてしまう。

それでは先に進めない。

仮面ライダーの歴史は、製作陣のプライドを捨てた挑戦の歴史でもある。
低迷し、復活し、今や巨大なマーケットとなった。

大きくなりたければ仮面ライダーに学べ。
彼らは戦ってきたのだ。
プライドを捨て、泥にまみれ、時には大きなけがをしながら。
その覚悟を、学べ。

関連記事:「特撮考察:ウルトラマンは国内SF番組の最後の良心である。


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