清流苑(松川町)から御大の館(高森町)まで、段丘の上段を走る10.5キロの道は絶景スポットに溢れている。果樹の花が咲き競い、残雪の南アルプスを望む春。たわわに実をつけたりんごが道の脇を彩り、山が錦に色づく秋。やわらかな光と澄んだ風を感じながら、ゆっくり車窓の風景を楽しんでみては……。
果樹園の中を走る
松川町の清流苑から、樹園地の中を南にまっすぎ延びる農道。道の両脇は一面りんごや柿などの果樹が。ここから高森町のハーモニックロード沿線、その南の飯田市座光寺の原地区まで、りんごを中心に樹園地が続く。この一帯は日較差(一日の寒暖の差)が10度前後あり、標高もりんご栽培の理想とされる500から600m。さらに果物の栽培には水はけの点からゆるやかな丘陵地形が良いとされる。標高、日当たり、土壌と、りんご栽培に必要な自然条件をすべて備えている最好適地だ。私はワインベルトになぞらえ、勝手に「日本のりんごベルト地帯」と呼んでいる。
ハーモニックロード
まっすぐの道は高森町に入ると十字路にぶつかる。右折してしばらく上ると、道はゆるやかに左折する。ここがハーモニックロードの始まり。しばらく走ると青木が沢展望台に。北に片桐松川が造った河岸段丘、東にアルプスの山々を俯瞰する。さらにしばらく走ると月夜平大橋展望台に。ここでは車を駐めて南アルプスの遠望を楽しもう。
月夜平大橋展望台から
月夜平大橋展望台から。伊那山地の鬼面山、その奥に雪をいただく南アルプス
ハーモニックロードからカノープスを見つけよう
写真下方、山の稜線のすぐ上に薄赤く輝く星に注目していただきたい。この星は「カノープス」。地平線ぎりぎりに現れるため、夕日と同じように赤く見えることで目印になる。 カノープスは写真に示したシリウスやオリオン座と同様、冬を代表する星。観察時期は12月~2月にかけてで、出現時間が短く高度も低いため、見つけるには天候と時間と場所を選ばなくてはならない。で、この星を見つけるなら、ハーモニックロード周辺がお薦め。写真は、2019年12月28日(私の誕生日)の夜10時30分~11時頃、ハーモニックロード上から撮影したもの。中国では「南極老人星」と呼ばれ、この星を見ると長寿にあやかれるのだとか……。日本の七福神の一人「寿老人」がこれに当たるとされている。
カノープスを探せ!
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