川の堤防や橋脚などで、垂直に立てられた支柱に目盛りが振られたものを見たことはありませんか? これは「量水標」または「水位標」と呼ばれる、河川の水位を測るための標識です。最近はセンサーや超音波を使った測定方法も、場所によっては行われているといいます。
「九頭竜大権現」の碑が立つ山吹の天竜河畔には、石造りの量水標が残されています。天竜川上流部に現存する中では、最も古いものの一つとされています。
階段状に設置された標示石は、6段目から14段目までが確認でき、数字が刻まれています。一段の高さは1尺(30・3cm)。各段の左には、10等分された1寸(3・03cm)単位の小段も設けられています。詳しい設置年度は不明ですが、昭和33年以前で明治以降のものと推察されています。
その脇の堤防上に立つ九頭竜権現は、水難の安全を願って江戸期に祀られたもの。JR下平駅近くの桜並木にも、同様の碑が立っています。人々にとって治水はとても重要な課題であったことが伺えます。
冊子TAKART 第7号(2014年7月)掲載 写真は2014年7月当時
量水標が残る天竜河畔
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