調査日 2023年5月27日(土)晴れ
![不動滝周辺の地図](http://takart.jp/wp-content/uploads/2024/02/01map-1-740x1024-1.jpg)
不動滝は高森町を代表する景勝地です。滝の上流は二つの沢にわかれており、この2本が不動滝でいっしょになって大島川が始まります。
不動滝には多くの人が訪れますが、その上流は知られていません。戦時中の食糧難の時代には、上流の平地を開墾してイモ(おそらくサツマイモ)をつくったといわれています。地図に「大平」と記されている場所です。
今回はかつて「滝の入」と呼ばれた不動滝の上流、この「大平」までを調査しました。コロナ禍の中断をはさんで約2年ぶりの調査は、史上もっとも過酷な道中となりました。
※今回はブラタカモリでナビゲートをお願いしている松島高根さんに道案内を依頼しました。
【不動滝の上へ】
調査隊一行は滝の傍らに祀られたお不動様に安全を祈願し、滝の上に出ました。滝上部は巨大な一枚岩。ところどころにポットホールが造られ、その上を清流が柔らかな布のように流れ下っています。
沢をわたり、かつて木材の搬出に使われた木馬道を進みました。
![出発を前に](http://takart.jp/wp-content/uploads/2024/02/02-1-1024x768-1.jpg)
![不動滝](http://takart.jp/wp-content/uploads/2024/02/hudoudaki-768x1024.jpg)
![大平をめざして歩き出す](http://takart.jp/wp-content/uploads/2024/02/04-768x1024.jpg)
![不動滝の上](http://takart.jp/wp-content/uploads/2024/02/05-1-1024x768-1.jpg)
![巨大な一枚岩は滑るので注意を!](https://takart.jp/wp-content/uploads/2024/02/6-1-1024x768-1.jpg)
![干水沢を進む](http://takart.jp/wp-content/uploads/2024/02/07-1-1024x768-1.jpg)
![沢をわたって](http://takart.jp/wp-content/uploads/2024/02/08-1024x768.jpg)
![途中、いくつものきれいな淵に出会える](http://takart.jp/wp-content/uploads/2024/02/09-768x1024-1.jpg)
【森閑とした異形樹の森】
歩き始めてしばらくは道がしっかり残っており、楽に進めました。途中、「展望台」と書かれた表示板を目にしました。かつてはこんな山中に「展望台」があったのですね。
![「展望台」を示す看板が](http://takart.jp/wp-content/uploads/2024/02/10-1024x768-1.jpg)
![左の道が「至 展望台」](http://takart.jp/wp-content/uploads/2024/02/11-1024x768-1.jpg)
![快適な山道が続く](http://takart.jp/wp-content/uploads/2024/02/12-768x1024-1.jpg)
しかしやがて、ところどころで倒木が道をふさぎ、クマザサがうっとうしく感じられるようになりました。
![倒木が道をふさぐ](http://takart.jp/wp-content/uploads/2024/02/13-1024x768-1.jpg)
![クマザサがうっとうしい](http://takart.jp/wp-content/uploads/2024/02/14-1024x768-1.jpg)
調査隊が思わず見入ってしまったのは異形の巨木たちです。人の手で枝が伐られ、そこからひこばえが芽生え、さらに大きく生長した姿には長い年月、大きな時間が融けこみ、畏敬の念を感じます。
![異形の巨木たち](http://takart.jp/wp-content/uploads/2024/02/15-1-768x1024-1.jpeg)
![道中出会った異形樹](http://takart.jp/wp-content/uploads/2024/02/16-1024x768-1.jpg)
![道中出会った異形樹](http://takart.jp/wp-content/uploads/2024/02/17-768x1024-1.jpg)
![道中出会った異形樹](http://takart.jp/wp-content/uploads/2024/02/18-768x1024-1.jpg)
![道中出会った異形樹](http://takart.jp/wp-content/uploads/2024/02/19-768x1024-1.jpg)
【見つけた! 出会った!】
小さな沢の一角に、花崗岩が粘土化した断層粘土を見つけました。写真の淡青色の部分が粘土層です。ここはちょうど前高森山断層が走っているところです。
![淡青色の粘土層が見える](http://takart.jp/wp-content/uploads/2024/02/20-1024x768-1.jpg)
人が生活した痕跡もありました。炭焼き小屋の石垣跡があり、その沢をはさんだ対岸には、斜面を削って平らにし山小屋を造った形跡が残っていました。
![炭焼き小屋の石垣跡](http://takart.jp/wp-content/uploads/2024/02/21-1024x768-1.jpg)
![斜面を削り平坦にして山小屋を造った形跡](http://takart.jp/wp-content/uploads/2024/02/22-1024x768-1.jpg)
かわいいヤマドリのひなにも出会えました。記念撮影だけして手放すと、一目散に親鳥の方へ向かっていきました。木に刻まれた熊の爪痕も、数カ所で見かけました。
![写真上:ヤマドリのひな。このあとすぐ親鳥の元へ返しました](http://takart.jp/wp-content/uploads/2024/02/23-1024x768-1.jpeg)
![木に印された熊の爪痕](http://takart.jp/wp-content/uploads/2024/02/24-768x1024.jpeg)
【大平へ 最後の直登】
目的地を間近に、厳しい通過儀礼が待っていました。背丈ほどのクマザサに覆われた急斜面の直登です。ここは写真を撮る余裕もありませんでした。
【クマザサとヒノキの大平】
不動滝を出発して2時間半、ついに目的地「大平」に到着しました。しかし、平坦な日だまりの別天地を想像していた一行には、あまりにも期待外れでした。現在の大平は人の背丈ほどのクマザサに一面覆われ、その中にヒノキが林立していました。
ここ大平は戦中のイモ栽培に代わり、戦後はカラマツが植林されました。しかし昭和50年の山火事で焼失してしまい、その後ヒノキが植えられたといいます。このヒノキもこんな山中でどうなるのでしょう。
![目的地に到着](http://takart.jp/wp-content/uploads/2024/02/25-1024x768-1.jpg)
![クマザサとヒノキの別天地](http://takart.jp/wp-content/uploads/2024/02/26-1024x768-1.jpg)
![でも、少しホッとするこんな風景も](http://takart.jp/wp-content/uploads/2024/02/27-1024x768-1.jpg)
心臓破りの直登も、帰路は下りのため、比較的楽に帰ることができました。翌日は脚の痛みと両腕の虫刺されに悩まされましたが、ハードな分、とても収穫の多い調査になりました。
![無事帰還! 疲れました](http://takart.jp/wp-content/uploads/2024/02/28-1024x768-1.jpg)
①花崗岩の一枚岩。「千畳敷」と呼ばれる
②小さな滝、瀬、淵が連続する
③かつての「展望台」
④歩きやすい道が続く
⑤この辺からクマザサがうっとうしい
⑥斜面を削り平坦にした山小屋の形跡
⑦断層粘土
⑧炭焼小屋の石積み跡
⑨この一帯、異形樹の森が広がる
⑩クマザサの中を直登
⑪標高1520m。クマザサとヒノキの別天地「大平」
![ルートマップ](http://takart.jp/wp-content/uploads/2024/02/29map-2-687x1024-1.jpg)
滝の入 異形樹図鑑
不動滝の上には、ヒノキ、ミズナラ、ブナ、トチ、カツラなどの異形樹の森が広がっていました。 異形は畏敬に通じます。深閑とした森で、長い時間を生きてきた異形の巨木に出会うと、畏敬を感じずにはいられません。
![ブナとヒノキ](http://takart.jp/wp-content/uploads/2024/02/1c2b8c27c08bf0fb18c9c04dfb94d7a3.jpg)
![ヒノキ](http://takart.jp/wp-content/uploads/2024/02/02hinoki2-1-768x1024-1.jpg)
![ヒノキ](http://takart.jp/wp-content/uploads/2024/02/dd16f3bac7d263355ca6b0f326d7f860.jpg)
![ヒノキ](http://takart.jp/wp-content/uploads/2024/02/02hinoki2-1-768x1024-2.jpg)
![ブナ](http://takart.jp/wp-content/uploads/2024/02/05buna1-1024x768-1.jpg)
![ブナ](http://takart.jp/wp-content/uploads/2024/02/06buna2-768x1024-1.jpg)
![ブナ](http://takart.jp/wp-content/uploads/2024/02/29d2eb8f876291b9f6573c52ef045792.jpg)
![ミズナラ](http://takart.jp/wp-content/uploads/2024/02/08mizunara-768x1024-1.jpg)
【調査を終えて】
往路:8:00不動滝発~10:30大平着
復路:11:00大平発~12:30不動滝着
◆ヤマヒルと熊には出会わずにすみましたが、山ダニは服に数匹付着していました。幸い刺されずにすみましたが。
◆決して独りでは行かないこと。もし山に入るなら、山歩きに慣れた地理に詳しい人に同行してもらいましょう。
◆不動滝の上の一枚岩はツルツル滑ります。滑って転んで流されたら大変。流れに入ってはいけません。
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